食用油脂の話①

日ごろの食事で、理想的なエネルギー比率(エネルギー産生栄養素バランス)というのがあります。

食事の総エネルギーのうち、炭水化物・タンパク質・脂質のエネルギ量がどのような比率になっているかというものです。エネルギー量は、炭水化物・タンパク質それぞれ1gが4kcal、脂質1gが9kcalで計算します。

■理想的な比率
・炭水化物 50~65%
・タンパク質 13~20%
・脂質 20~30%

その中で、脂肪については「質」について留意するようにとされているのです。

脂質の量を計算してみます。
1日の摂取エネルギーが2000kcalの場合には、その20%~30%、つまり400kcal~600kcalを脂質で摂取するということになります。脂質1gが9kcalですから、44g~66gの脂質ということになります。

この脂質量は、調理に使用するサラダ油や、ラード、バターのみならず、肉や魚、乳製品などに含まれる脂質の全てが含まれます。

そこで今回は脂質について紹介していきたいと思います。

※必要エネルギー量は年齢や性別によって、異なりますので、皆さんに上記のエネルギ量が当てはまるということではありません。

必須脂肪酸

ヒトの細胞膜は、コレステロールなどの脂肪酸で構成されています。コレステロールは体内で合成されることを以前ご紹介いたしましたが、脂肪酸の中で「オメガ3系」「オメガ6系」の脂肪酸は体内で合成することができません。これらの脂肪酸は食事から摂取しなければならないということですね。 そのため必須脂肪酸と呼ばれています。

オメガ3系の脂肪酸

青魚と言われるアジ・イワシ・サンマなどに含まれている、DHA・EPA。
えごま油、シソ油、あまに油などもαリノレン酸が含まれており、オメガ3系です。

このオメガ3系の脂肪酸は、脳の発育などに必要とされています。

オメガ6系脂肪酸

リノール酸の含まれる、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油などがオメガ6系です。こちらは、サラダ油として日常使用しているご家庭が多いかもしれませんね。

脂肪酸の比率

オメガ3系と、オメガ6系の脂肪酸は、どちらも必須脂肪酸であり、どちらも細胞膜の構成成分です。
オメガ3系は細胞膜を柔らかくしなやかにし、柔軟性を持たせます。その一方で、オメガ6系は細胞膜をしっかりと固く強いものにします。細胞膜に相反する作用をもたらし、絶妙なバランスを保っているというわけです。

理想的な摂取比率は…
オメガ3系:オメガ6系=4:1

このような比率で脂肪酸を摂取することが望ましいとされていますが、近年オメガ6系のリノール酸の摂取過剰が問題となっているようです。

オメガ6系の脂肪酸は、サラダ油として揚げ物や炒め物に利用されます。必須脂肪酸ということで、身体に良いと思いがちですが、摂りすぎてしまうと細胞に不具合が起こります。細胞膜のバランスが悪くなることで、アトピー含む皮膚炎や、花粉症などの炎症が起こりやすくなってしまいます。

オメガ6系の脂肪酸の含まれる油は、揚げ物のみならず、ケーキやスナック菓子、ショートニング、マヨネーズのように、多くの食品や調味料に使用されています。そのため過剰摂取になりやすいのです。

まとめ

必須脂肪酸は、細胞膜や脳に必要不可欠なもの。オメガ3系、オメガ6系の2種類があります。近年ではオメガ6系の脂肪酸の過剰摂取が問題視されています。必要な油脂ではあるものの、多くなりすぎないようにしないといけません。いま一度、身の回りのサラダ油について、使用量を見直しましょう。

オメガ3系の脂肪酸は、青魚に多く含まれています。栄養指導でお話しを伺うと、「魚を調理するのは手間がかかり大変」との声を耳にします。丸のままのお魚をさばくのは確かに大変ですよね…内臓の処理にも困ります。それでも、スーパーで調理していただけることもありますし、すでに切り身になって売っているお魚、お刺身などをうまく利用して、食卓に魚料理を登場させていけるといいですね。

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